キングファイルについて

テニスをするとその最中に必ず気づくことがある。

前回からの技術的な仮説と課題は、確信に変わることもあれば

机上の空論、畳の上の水練として散ることもある。

確信の後も、新たなパラダイムシフトで無効となりもする。

 

若い時からでもあるが、更に老化も加わり、

家を出てから忘れ物に気づいて玄関への階段を往復する。

水筒・財布・帽子・折り畳み椅子・etc.

もちろん忘れもの防止の呪文を唱えての上である。

『鮭鱒とタタキ鉾』

サ➡財布

ケ➡携帯電話

マス➡マスク (現在は無し)

ト➡時計  (バンド部分修理中)

タ➡タバコ

タ➡タオル

キ➡キー (車と玄関)

ホ➡ポット (寒冷期は車のウインドウにお湯をかける またはお茶)

コ➡コーヒー

イメージとしては鮭鱒の刺身をタタキにする包丁(鉾)な感じで

つくったはいいが、唱え忘れ、唱えて揃えた上で持っていき忘れ…。

出勤時は大体機能するが、テニスや休日の外出等のイレギュラー項目には

対応しておらず、仕事以上に焦って出かけることも多く、忘れる。

テニスの際は折り畳み椅子や大型ラケットケースを積みこむため、

まず契約駐車場に手ぶらでいって、車を自宅玄関まで持ってくる。

手ぶらでいくこと自体呪文のルーティンを外れ気味だが、5分歩いた

契約駐車場で車のキーを忘れたことに気づく。

もうわかっていることなので、苦笑いもせず淡々と往復する。

『しってた』

 

なぜかテニスの最中での各ショットの気づきに関しては

その場でメモをとる必要があったためしがない。

忘れたことがない。

テニスの終わったあと家に帰り、居間でラケットを振り回していると、

前回の課題と実験結果。検証。次回の検証計画が次々とあぶり出されて、

この時点でチラシ裏に箇条書きしていく。

正直、この発見と気づきの時間が楽しくてテニスをやっているようなものだ。

重大なイメージの発見と思われたチラシ裏はパンチで穴をあけて

キングファイルに綴じているが、すでに昔の電話帳じみた厚さになっている。

そして、その全てが、今や役割を終えたゴミだともいえる。

すべての実験が失敗だったわけではないが、

成功した技術は次の段階では別の文脈体系の中で新たに処理され、

役割を終えている。

重要なのは一枚前の記録と今書いた記録のみだ。

 

今日のサークルでの4時間ぶっ通しの試合を終えて、

 

【サーブ】

トスが相変わらず不安定。

昔はもっと高くあげていたことに気づいた。

折り返し点の静止ポイントにピンポイントで上げようとして

力加減を絶妙に調整する必要が生じ、力みとなり体が混乱する。

そうだ、昔は高く上げて、落ちてくる獲物を狙い、スマッシュする感じだった。

多分、風の日もあるのでトスは低く、とかなんとか云うテニス雑誌の記事に、

数十年惑わされ続けていただけだったかも。

高くあげてのサーブはノリとしては日本代表男子バレーのジャンピングサーブ

に近い。あれをトス低くとかアドバイスしたら間抜けなサーブとなるだろう。

順調に昔のスピードを思い出しつつあるので、トスも昔に戻す。

数年ぶりに何かの拍子で、体が横向きのままのインパクトとなった一球があり、

横向きに倒れこみながら叩き込む感覚を思い出したかもしれない。

横向きだからこそジャンプ気味になるという足のスタンスのシステムも、

直観的に理解した気がする。

そもそもコンチネンタルグリップの前進方向は基本的に横だ。

グリップと体の完全な脱力から、

インパクトの前傾角度へ向けて、

足からラケット先端までを一直線の鋼板へと瞬時に硬化することにより、

インパクトのヘッドスピードを最大化し、更に腕全体で押し込んでいく。

最後に自然に体が回転するのは構わない。

 

【バックハンドストローク

サークルに、リミッターを外すと明らかに200km/hを超えるサーブを打つ

化け物(失礼!)がいて30歳くらいの社会人なのだが、手加減して入れに

きた150km/hくらいのサーブがアドサイドのバックに来た時、とっさのグリップ

チェンジが追い付かず、現在のフォアハンドグリップであるウエスタンのまま

左手を添えて両手バックで打ってしまった。

ジャストタイミングでクリーンヒットのリターンが返り自分で驚いた。

肘を痛めたあとに打ち始めた両手バックはコンチネンタルの右手に左手を

添えて打っていたが、まさかのウエスタンが正解だったのか?

しらなかった。

化け物…じゃなかった、Hくんも意外だったのかそのあともう一球同じサーブ

が来た。同じくリターン。

更に他の試合でのグランドストロークでもおおかた成功。

両手バックの右手はフォアハンドのウエスタンのままに変更。

 

【フォアハンドストローク

中学生でスクールで習ったのはイースタンブリップ。

最近?でいうとフェデラーとかサンプラスのグリップですね。

実はマッケンローもそうなのだが、

マッケンローの自由自在なタッチ感覚に憧れるあまり、

何を思ったのかより薄いコンチネンタルグリップでフォアを試行錯誤し続けた。

サーブ ボレー スマッシュ フォア バック 

全てワングリップにして、感覚を統一したかった。

フォアハンドの打点はどんどん後ろへ後退した。

ふところは深くなったが…

打てていたライナー性のフラットが打てなくなった。

年に数回、時期によっては十数回のテニスでは方向の間違いに気づかず、

へろへろのフォアハンドを35年間くらい工夫しながらだましだまし打っていた。

それでもテニスはいつだって最高に楽しい。

 

サークルに入る前に、準備として近くのオートテニスに通った。

丁度現場の工事が一つ終わった頃だったので、会社帰りに毎日打っていた。

薄いグリップのまま強いフラット、またはトップスピンが可能かを毎日

汗だくになるまで試した。千円札をトイレットペーパーの如く消費した。

結果、無理だった。不可能だということが全ての意味でわかった(笑)

その後、厚いウエスタングリップに変えてトップスピンの強打を試した。

なかなか思ったようなスピンはかからなかったが強打にはなった。

インパクトで面を伏せることを意識してエクストリームウエスタンの極厚

グリップにしてこすり上げるとトップスピンがようやくかかった。

還暦を前にフェデラーの分解写真を研究した(笑)

さようなら、マッケンローのまぼろしよ。

 

軟式テニスもやっていたのでウエスタングリップはなんかすぐに感覚化した(笑)

ありがとう 軟式テニス顧問の先生。

よく部員一同一列に並べられて尻をラケットでひっぱたかれた。

なんで怒られたのかは忘れた。何かの連帯責任だったか?

ラケットフェイス握って、グリップ部分をフルスイングだもんね。

その場で崩れ落ちうずくまる者もいた。

しばしの時間、教室の椅子に座れないくらい痛かった。

戦時中、戦艦大和で上官から角材で尻を叩かれ、打ちどころ悪く

下半身不随になった者がいたという。

昭和なら教育指導。

平成ならパワハラ

令和では犯罪。

 

それでやっと今日の【フォアハンドストローク】の検証なのだが、

久しぶりのテニスということもあってかなり酷かった。

しかし、酷ければ酷いほど根本改革に近づくのがテニスの面白いところだ。

今日のテニス開始前に試したかったのは、球を迎えにいくのではなく

体当たり気味にいくことだった。

事後の検証で思ったのは、オープンスタンスでのひねりが足りないことだ。

あるテニスの本で、プロのようにひねっても戻せなければ意味がありません。

一般人はひねり過ぎに注意しましょう。という一文があって、

打つ前の左手を、コンチネンタルフォアの時と同じように前に出してボール

を指していた。

それでは球に体当たりにいっても、右手主導の手打ちになりがちだ。

やはり高校時代のバイブル、服部修平氏の『奇跡のテニス』の教えに従い、

左手も振ってリズミカルに体全体で打たないとだめだ。

 

『スエーデンの強豪、ボルグ選手のテニスを見たことがあるでしょうか。

彼のスイングを見てみると、左手を体の回転に合わせて振っているのが

わかります。つまり、体の回転をよりパワフルにするために、スイング

に合わせて左手をもスイングしているのです。(中略)リズム・テニス

は、体で打つテニスですから、どんなボールをも無理なく打ち返すこと

ができますが、「スイングに直接“左手”は関係ないから」と左手の効用

を無視するなら、もはや上達はのぞめません。なぜなら、その打法は、

体すべてを駆使するリズム・テニスではないからです。』

                     『奇跡のテニス』より

 

次回のテニスでは、『左手をもスイングしている』フォアハンドを試そう。

『リズムテニス』はテニスを始めた初期のころ、

イースタングリップで打点を前にして強打する際にお手本にしていた。

ラケットもテニス自体も様変わりして、時代遅れの本と思った時に一度捨てた。

あとで思い返し、惜しくなって、アマゾンで古本を買いなおした。

田舎の古本屋になんとか一冊残っていた。

時代遅れになっても、なんていうか、スピリットを読み取れば、

細かい技術は自分で更新すればよいと思う。

自分にだけかもしれないけど、

今も魔法の本であり続ける。

 

今夜はこれからかねてから懸案だった、

トランペット復活へ向けて練習を開始する。

深夜対応のシーミュートをつけて。

またキングファイルを用意すべきなのか?

なんかもう日記書いてへとへとになってきているのだが…。

睡眠時間よさようなら。

明日は仕事になるのだろうか?