2025年4月29日 祝日 昭和の日
同い年のいとこと中延で待ち合わせて蛇窪神社へお参りした。
二人とも1965年生まれの還暦なので今年は5回目の巳年だ。
互いにいつしんでもおかしくないからこの世で会う機会があれば
会っておこう。いとこ曰く『明日ありと思う心の仇桜』だそうだ。
近くの特養にいる、亡き母の妹である叔母さんのお見舞いも兼ねて。
中延駅のA2出口で待ち合わせた。
早めに着いたので辺りを散策していると電話が鳴った。
いとこが自転車を横に持ってA2で手を振っていた。
神社までいとこは自転車を押しながら歩き、自身の体の不調を語った。
いとこも蛇窪神社が近所でありながら最近知ったらしい。
にぎわう戸越銀座や中延商店街のあたりは昔、蛇窪村だったと云う。
1936年、蛇窪駅は戸越公園駅に名前を変えたそうだ。
蛇窪村の大きな農家、森屋さんが蛇窪神社を建立したとも伝えられている。
この地に移り住んだ北条家臣団が殿様でもあるお坊様の断食祈願の雨ごいで
の大雨に感激して蛇窪神社を建てたという説もある。
とりあえず白い蛇は森屋さんの子孫である森谷さんの夢枕に現れた。
『一日も早くもとの住みかに帰してほしい』
蛇窪神社の社殿の左横の清水湧く洗い場に蛇は住んでいたのだが、
いつしか洗い場がなくなり仕方なく蛇は戸越公園の池で暮らしていた。
おもしろき こともなき世を おもしろく
住みなすものは 心なりけり 『高杉晋作&野村望東尼』
白蛇にとっては元の住みかが心の拠り所だったのだ。
身につまされる話だ。
森谷さんが宮司さんに夢の話をすると、宮司さんは神社に池をつくり
池の真ん中に島をつくり石窟に石祠を作って白蛇の魂を祀った。
白蛇を迎える日の夜、いよいよお迎えの祝詞を奉上しようとしたとき
それまでの輝くばかりの星空が一天にわかにかき曇り
雷鳴とともに大風がたちおこり
身のすくむ思いだったと古老が語ったと云う。
前を歩くいとこが一円の賽銭を箱に入れて種銭をもらった。
倣って一円を入れて俯きながら種銭をもらった。
十円玉くらいの大きさで四角い穴のあいた種銭の
表には、富貴 財運 清浄 とあり、
裏には、白蛇 蛇窪 種銭 とある。
小さなザルと洗い場でいとこが一円と種銭をくるくる回して洗う。
倣って一円と種銭をくるくる回して洗った。
一円はすぐにどこかで使ってしまい、種銭は財布に入れておくと
一粒万倍となるらしい。一円だから一万円になって戻るのだろうか。
記憶がすでにさだかではないがそんな感じの手順だったと思う。
他にもお稲荷さんもいたりしてお参りのところどころで賽銭したが、
いとこが深刻な声で『賽銭でお金とられるばっかりだな』
というのでびっくりした。
『一円と五円しか払っていない人間の言葉じゃない』
というと笑った。
今朝は地元の駅が移転したことをすっかり忘れて遅れそうになったが、
そのことをlineで山手線の車内から送信するといとこから、
『貴兄のボケ方は理想的と思います。
まさか羽田空港へ向かってませんよね?
五反田で都営地下鉄に乗り換えてください。
神様に間違えないよう祈念致しました。』
と返信があった。
『ありがとうございます。
乗り越したら反対に乘る知恵がまだ
残っているのでいつかは五反田で降りれます。』
『ナンマンダブ、ナンマンダブ、、、』
『そのまま一周しても着くことも理解しています。』
『ナンマンダブ、ナンマンダブ、、、』
『その秘密はずばり円です。』
『ラーメン葵葉、開店の11:00にいかないと並ぶことになる。
間に合うかな、ナンマンダブ、ナンマンダブ、、、』
『あわてて反対側にとびのるのがいなかもの。
急がば回れが都会のくらしです。』
『流石です。』
『中延のA2に出ました。近くにドトールがあるんですか?』
しばらく辺りを散策してドトールを探したところで電話が鳴った。
📞 音声通話
いとこが中延のA2出口で自転車を横に持って手を振っていた。
そして神社での参拝を終えた後、
葵葉ラーメンを目指して中延スキップロード商店街を歩いた。
中延商店街は大きく、アーケードの支道が魚の骨のように伸びていて
背骨の先遠くに大きな病院がそびえ建っていた。
「これあの病院にいく救急車スキップロード通れんの?」
「それこそ〇〇〇くんがいったように急がば回れでね、迂回していくんだよね」
「ああ、そうだよね。やっぱり」
背骨をぬけた商店街の終わりがなぜか小さな空き地のようになっており、
そのはしっこに戦後の闇市のような細い路地があり、
この晴れた青空の下でもなお闇のかかる路地の中に、
葵葉ラーメンがあった。
ドトールコーヒーは商店街の出口にあった。
「まだ時間が早いのでドトールで時間を潰そう」
いとこが云った。
それから「あ」と云った。
「自転車神社に忘れてきた」
順調にボケているようだ。
そしていとこが当初自転車を押していたことを
私もまたすっかり忘れていた。
「そういえば自転車あったよね」
「取りに行ってくるからドトールで時間潰してて」
「わかった」
中延のドトールで時間調整してから
秘密の駐輪場に自転車を停め、
11時開店のラーメン葵葉(あおば)に並んだ。
2番目だった。しばらくして3番目の人たちが並んだ。
いとこは焦がし醤油、私は味噌を頼んだ。
とても美味しかった。
再びドトールでタバコとコーヒーを摂ってから、
叔母さんのお見舞いに行った。
春分の日に会った時より更に気楽な空気で昔話ができた。
前日にいとこの子がお見舞いに来たようで、
覚醒状態がきわめて良好となったらしい。来れてよかった。
〇〇ちゃんが自転車を忘れてとりにいったと云うと笑った。
いとこは買い物のレジで財布を忘れたことに気づくこともあるらしい。
ひどいものだ。
叔母さんが笑ってるからいいか。
いとこが〇〇〇くんも相当ボケているというので、
自宅と離れた駐車場で、車の鍵を忘れたことに気づいたことを
話したら笑った。
表情が少し母に似ていると思った。
そうか、今日は昭和の日か。